【書評】なんで僕に聞くんだろう。(幡野 広志 著)【人生相談】

この記事では、幡野広志さんの『なんで僕に聞くんだろう』という本を紹介します。

目次

  1. この本について
  2. おすすめしたい読者
  3. 本の中身
  4. 著者:幡野広志さんの紹介
  5. まとめ

1.この本について

本書、『なんで僕に聞くんだろう』は著者である幡野さんが人生相談に答えるです。

著者である幡野さんはカメラマンであり、末期のがんを患っています。幡野さんががんを公表してから、たくさんの励ましのメッセージとともに、これまたたくさんの人生相談がよせられるようになったそうです。そして幡野さんはそれらの人生相談にネット上で答えるようになっていきました。

このやりとりを1冊にまとめたのが本書です。

私も、職場の同僚や友人から相談を持ちかけられることがあり、そのときどう答えたらいいのか分からず、悩んでしまうようなことがあります。そんなとき、ネットで人生相談に関する本を探していて、出会ったのがこの1冊でした。

本書には様々な悩みが出てきます。そしてその一つ一つに幡野さんが丁寧に、ときにひょうひょうと、でも真剣に答えています。そして、幡野さんの回答を通じ、幡野さんが何を大切に思っているのか、がありありと伝わってきます。

人生相談を通じ、「人が生きるとはどういうことか?」を考えさせてくれる1冊です。

2.おすすめしたい読者

おすすめというと幅が広すぎるかもしれませんが、本書は、悩みを抱える人が読むと、その悩みに対し何かヒントがあるかもしれません。もちろん、抱えている悩みにダイレクトに答える回答が、本書に載っているわけではありません。ですが、幡野さんの考え方、大事にしていること、伝えたいことが、きっとあなたの悩みを解きほぐす材料になってくれるのではないか、と思います

3.本の中身

本書では37の相談と回答が載せられています。私はその中で、「人が生きる理由」という見出しの相談、回答に強く共感しました。その内容を簡単に紹介します。

相談者は41歳の女性。20歳年の離れた彼氏と付き合っているものの、このままの関係を続けることが果たして彼氏にとってよいのか悩んでいる、という内容です。

この相談に幡野さんは次のように回答します。

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生きる理由とはなにか?
さいきん生きる理由をよく考えています。

 

回答はこの1文から始まります。幡野さんは末期のがん患者。死を意識することも多いのではないかと思います。そして、幡野さんがその当時出した結論が、

人は人それぞれの、しあわせを享受するために生きているのだと、ぼくはおもいます。これは身勝手な話かもしれませんが、ぼくの息子や妻でさえ、僕をしあわせにしてくれるための存在なのだとおもいます。

 

というもの。それぞれのしあわせを享受するために生きている、言われればその通りだと思います。ポイントは「人それぞれの、しあわせ」というところ。しあわせと感じる価値観は人によって異なります。誰かの役に立つことをしあわせを感じる人もいれば、誰かを誹謗中傷することがしあわせと感じる人もいます。これは事実としてしょうがない。

そのことを踏まえ、幡野さん続けます。

しあわせを享受するために大切なことはなにか?
大切なのは、自分のしあわせの価値観と合わない人とは距離を置くということです。DVや虐待やハラスメント、ブラック企業での勤務などは、しあわせの価値観の不一致が原因だと思っています。しあわせの価値観の被害者になる必要はないわけです

 

対処法はいたってシンプル。さまざまな不幸な出来事は「しあわせの価値観の不一致」が原因であり、そこから距離を置くのが一番、ということです。

とはいえ「それができたら苦労しない」と思うところもあるでしょう。自分の中のいろいろな制約の中で、今の環境や人間関係を変えられない、だからしあわせの価値観が異なる人とも付き合っていかざるを得ない。そういう場面も多いとおもいます。

ですが、本当にそうでしょうか?確かに、環境や人間関係にはすぐには変えられないものもあります(ブラック企業はすぐ転職しちゃえばいいとおもいます)。大事なのは「距離を置く」ということです。いきなり関係がゼロにできなくても、触れ合う頻度を減らしたり、別の環境に入ってみることで、距離を置くことはできるのではないでしょうか。

私も、社会人になってから会社以外のいくつかのコミュニティに入る機会がありました。その人たちとは10年来の付き合いになる人もいます。それって、コミュニティの人たちと、しあわせの価値観が近いからだと思うのです。仕事でつらいとき、そういうコミュニティの人たちとの関わりが支えになったりもします。

「距離を置く」とは少し違うかもしれませんが、複数の環境、できればしあわせの価値観が近い人たちといっしょにいることで、不幸せな環境から相対的に「距離を置く」こともできるのではないか、と思います。

しあわせとはなにか?

最後に、幡野さんは、幡野さんなりのしあわせについて教えてくれます。

好きな人のしあわせを願うことができて、その好きな人が自分の幸せを願ってくれることが、しあわせなんだとぼくはおもいます。

 

この1文だけでも、幡野さんの人となりが伝わってくるようですよね。

私はこの回答を読んで、『幸福論』を書いた哲学者アランの「不幸とは感情であり、幸福とは意思である」という言葉を思い出しました。相手のしあわせを願う、その「意思」こそが、しあわせの本質なのかな、と思います

最後に、この相談への回答を幡野さんはどう締めくくるのか、それは本書を買ってぜひご覧いただければと思います。

4.著者:幡野 広志さんの紹介

幡野さんは現在もcakesというサイトで。人生相談への回答を続けられています。

また、Twitternoteもされていて、積極的に情報発信されているので、興味のある方は是非チェックしてみてください。

5.まとめ

今回は1つの相談をとりあげましたが、他の相談への回答からも幡野さんの人生観、仕事観、社会観、人間観といった価値観が見て取れます。そして、だんだんとそのことが分かってくると

『なんで僕に聞くんだろう。』

という、この本のタイトルにある問いの答えが、分かってくるはずです

それでは、また別の記事でお会いしましょう!

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